GPS位置情報システムを仕掛けられて、居場所を知られているという調査依頼や相談を受けますが、その実力は如何な物か?実験で検証して行きたいと思います。
位置情報システムの種類
位置情報システムにはどんな物があるのでしょうか? 定番は携帯電話の位置検索システムです。
また、PHSを使ったイマドコサービスもありました。
まずこの両者の違いは、携帯の位置情報はGPSを使用するのに対し、PHSは中継アンテナの位置を示しているのです。
PHSは中継アンテナから100M以内でしか使えません、その為沢山のアンテナが必要になるのですが、逆に使っているアンテナの100M以内にいると言う事にもなるのです。
それを表示しているので、誤差が100Mと言う事になる訳です。
また、警察車両等に搭載されているカーロケーションシステムもありますが、一般人には無縁の物です。
その他には電波発信機を取り付けて、電波が発信されている場所を調べるハンディーカーハンターや、GPS情報記録式の位置情報もあります。
しかし、ハンディーカーハンターは余程練習しなければ使いこなせません。
GPS記録式は、リアルタイムで分かると言うものではなく、取り付けたGPS装置に位置情報を記録させて、それを回収して位置情報を得るタイプです。
GPSで居場所を知られる?
「GPSで居場所を知られて先回りされてる」と言う相談がやたらに多いのですが、 そう言う人は、GPSをあまり理解しておらず、闇雲に不安を抱えているのです。
とりあえず、携帯のGPSを使って実験してみましょう。
場所と表示 |
説明 |
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実験場所は名古屋市中村公園の三洋堂書店のレンタルビデオショップ。
ここで実験開始。 |
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この建物の真横で表示させると、見事にピンポイントで表示される。
(基点の写真を取り忘れたので、店内で表示されている所の写真を撮った後に戻って撮影)これは自分で持っている携帯の表示なので、軌跡が記されるが位置情報画面では軌跡は示されず、通信を行った時の点だけが表示される。 |
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店内に入ると全く別の所が表示される。
果たしてこれはどう言う事なのか?
(新型機種はGPSマークに×が表示されているが、ほとんどの機種は表示されない)
また、これは自分の持っている携帯での表示なので、位置情報としての地図には×マークは表示されない。 |
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表示された場所に行って見た。
歩いて5分、本来の場所との位置関係は二番目の写真の青い点の表示を見れば分かるだろう。
全く見当違いの所が表示されていた訳だ。 |
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大須編 (写真をクリックすると拡大写真が見れます) |
場所と表示 |
説明 |
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実験場所は名古屋市大須新天地通りの入り口から。
アーケード街とビルの中での表示の違いを検証する。
最初の測定地は、写真の「氷」の旗の横。 |
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最初の計測ポイントでは正確に表示されている。
次は、ここから50メートル入ったパチンコ屋「メガロの前」 |
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大須新天地通りから50メートルほど入ったパチンコ屋{メガロ」の前で計測してみた。 |
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表示は大須新天地通りの入り口と変ってはいない。
軌跡も表示されていない。 |
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大須新天地通りの入り口から100メートル程度にある十一面観音まで来た。
ここは天井が抜けている。一応ピンポイントで示しているが、軌跡は歪んでいる。 |
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万松寺ビルの中に入ってみた。
とりあえず、電波を受信しやすい出入り口の近くで計測してみた。 |
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この表示だと、私は道路の反対側にいる事になっている。
もし、位置情報を使って私を探すとすれば、見当違いの場所を探す事になる。 |
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万松寺ビルの中央のゲーマーズで計測してみた。
表示されている場所は変らない。 |
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隣の第一アメ横ビルの2階の階段付近で計測してみた。
GPSは大通り二つ先を示している。 |
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携帯GPSで何故こんな現象が起きるのか?
何故、携帯GPSではこんな事が起きるのでしょうか?
答えは簡単、GPSは屋根が一つ有ればGPS信号を受信出来ません。
上から三つ目の写真で店舗内で表示されていた場所に行くと、マンションの屋上に携帯電話の中継アンテナが設置されているのが分かります。
つまり、携帯GPSはGPS信号が受信できない時、近くの中継アンテナの位置が表示されるようになっているのです。
大須編ではは、アーケードとビルの表示の違いが分かります。
アーケードでは精度は悪いですが、軌跡も表示されていますが、ビルの中では全く役に立っていません。
答えは、アーケードの素材にあります。
アーケードは採光の為、光を通す屋根が使われているのです。
電波は光と同じで、光を通す物は電波も通します。
アーケードでは周りの建物の多さ等で、受信出来るGPS衛星の電波が少ないので精度が悪くなるのですが位置は表示されます。
しかしビルのコンクリートは光を通しませんので、GPSの電波も受信出来ないのです。
その為、携帯の中継アンテナの位置が表示されるのです。
一言でGPSと言っても、携帯電話の様にGPS信号が受信出来ない時には別のシステムが動いているのです。
カーナビの場合はジャイロマッピング機能やマップマッチングと言った機能で、トンネルやビル街などでGPS信号が受信出来なくても計算して表示されるようになっているのです。
しかもカーナビには通信機能は無く、位置情報は使えません。
つまり、携帯GPSやカーナビは純粋なGPSではないのです。
では純粋なGPSはどれほどの物なのか? パソコン用のGPSレシーバーを使って試してみましょう。
純粋なGPSを使えば、どれだけGPS衛星の電波を受信し、屋根一つで受信出来なくなるかが分かります。
パソコン表示 |
説明 |
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使用するGPSレシーバー
CFスロットをPCカードスロットに変換して使用 |
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ビルの屋上で計測。
この時点で8つの衛星の電波を受信している事が分かる |
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GPSで得た位置情報を地図上に表示させるとピンポイント表示する。
左下のGPS衛星捕捉状況も、10個のGPS衛星を捕捉している。 |
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屋上に出るドアの内側で計測。
屋根があると、GPS衛星を全く捕捉出来ない。
この北26の表示はエラー表示である。 |
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GPS衛星を捕捉出来ない状況で地図表示させても、初期表示のままで現在位置が表示されない。 |
GPSの実力はこの程度
GPSは、屋外ではかなりの精度で現在位置を表示出来るのですが、屋根のある所では現在位置を表示させることは出来ないのです。
位置情報システムとは、通信した時点の緯度と経度を地図上に表示する物で、その通信は瞬間でしか行なわれません。
その理由は、刻一刻と移動する位置情報を送信し続ければ、携帯の電池が切れてしまうのです。
つまり、軌跡を表示させるような位置情報は「連続通話」と同じ状況になってしまい、そんな事をしたらすぐに電池が切れてしまうのです。
その為、通信を行なった時点の緯度と経度を地図上に点として表示しているだけなのです。
移動の方向を知るには最低2回表示させないと、動いているのか止まっているのかも分かりません。
しかも、GPS衛星の電波が受信出来なければ、全く別の所が表示されてしまう。
ちなみに、車は金属性で、基本的に電波は通しません。
運転席や助手席など窓の側で表示させればGPS信号を受信出来ますが、ダッシュボードの裏やトランクの中などに隠すとGPSの信号が受信出来なくなります。
車の底に取り付ける場合、奥まった所につければ受信出来なくなりますので、車の底の周辺部に付けないと機能しないのです。