盗聴発見器は盗聴器を発見する機械では無い

盗聴器を探す為に盗聴発見器を買う。

しかし、盗聴発見器として売られている物は、実際には盗聴発見器では無い。
特に、安い盗聴発見器は、単なる電磁波探知機で電磁波であれば何でも反応する。

本物の盗聴器には10cm以内で反応!とは私も言っているが、実際には5cm程度でしか反応しない場合が多い。
だから、空中で反応したらその反応は盗聴器では無い。

また、「Lo」と「Hi」のレンジ切り替えが付いていても、「Hi」は全く使い物にならない。
理屈は簡単、電波や電磁波は盗聴器だけの物ではなく、様々な電波が飛び交っている。
少しでも強い電波を受信してしまえば何処でも反応してしまう。

その為、安価な盗聴発見器は最低感度に設定してある。
近くで無ければ反応しないレベルであれば、他の電波の影響を受け難く、極めて狭い範囲でしか反応しなければそこにあると言う考えだ。

しかし、現実はそんな単純な物では無い。
電波と言う物は、金属に吸収され、その金属が電磁波を帯びる。
つまり、近所に強い電波を出す施設が有れば、金属部分が電磁波を帯びると言う事だ。

例えば、コンセントの内部は金属で出来ている。
その金属部分が電磁波を帯びて、その電磁波に盗聴発見器は反応する。

何の知識も無ければ、それを盗聴器と思ってしまう。
当然、分解しても何も出てこない。

これは盗聴器を調べる以前の問題なのだ。
電磁波の性質や特性、そして「波」の性質を理解し、応用する必要がある。

逆に、電波の性質や特性、そして「波」と言う物を熟知し応用出来れば、数千円の盗聴発見器でも盗聴器を発見する事は可能だ。
とは言う物の、安物の盗聴発見器は盗聴器には反応せずに、盗聴器以外の物だけ反応する機種もある。

まずは機種選びが大切になる。

また、値段が高ければよいと言う訳でもない。
値段だけ高くて、性能は数千円の盗聴発見器に毛の生えたような物もある。

盗聴発見器にレシーバー機能が付いている物なら、さほどハズレは無いが、段階的なLEDレベル表示だけと言う商品はハズレも多い。
数万円もする盗聴発見器で、5段階や10段階などのレベル表示と書いてあると、遠くの時はLEDが一つ、近付くとLEDの点灯が増えて行く様に思うだろうが、実際には0~30cmの間でLEDの数が増減しているだけの物もある。
それでは数千円の盗聴発見器と大差は無い。

「電波」や「波」の事を知らずに盗聴発見器を購入して調べても、見つける事が出来なかったり、盗聴器ではない物を盗聴器と思い込んだりしてしまう事も多い。

困った事に、これはプロを自称する業者も例外では無い。

実際に有った話だが、盗聴発見を依頼して40万と言う高額な調査料を支払い、調査結果は「盗聴器は有るが何処にあるのか不明」と言った呆れた業者が実際にいた。

その業者は、ここに書いた事をそのままやっていた。
電波の性質や特性を理解していれば、その業者の話を聞いただけで、どの様な機種を使い、どの様な調査をして、どの程度の知識を持った業者か手に取るように分かる。

ちなみに、40万を支払ったその人の所には盗聴器は無く、近くの携帯電話の中継アンテナの電波をアルミサッシが吸収してそこから電磁波を出しているだけだった。
恐らくその業者は、その電磁波を盗聴器の電波と誤認し、盗聴器は有るが所在不明としたのだろう。
と言う事は、レシーバーを使わず、素人さんが使う盗聴発見器に八木アンテナも付けずに調べたのだろう。

本当に盗聴なのか?

「聞かれている」は盗聴なのか?

盗聴かも知れない?と思う原因は「知られている」と言う物が多い。
しかし、知られている=盗聴と考えるのは短絡的だ。

盗聴以外にも知られてしまう事は結構ある。
その一つが、家の構造。

自分が部屋にいるとき、屋外でどの程度声が漏れているか自分で聴く事は出来ない。
家の構造上の問題で外に声が筒抜けになっている家は結構ある。

その代表的な構造が「2×4工法」だ。
特に、吹き抜けがある家。
楽に50メートル先まで子供をしかりつける声が聞える家もある。

マンションでは、排水口が結構聞える。
少し考えれば、キッチンのシンクなどは音を伝える事が分かる。

マンションは最上階から縦に排水管が通っている。
その排水管に各階の配水管が繋がっている。

排水管は水道管と違い、使用してなければ空洞だ。
N型の管が付いていればそこに水が溜まり、音を遮断するが、N管が付いていない所は伝声管と同じ構造になっている。
つまり、元々音が伝わる構造になっている。
但し、高層マンションでは何処の部屋の声かは分からないが、二階建て軽量鉄骨であれば上下しかないので特定できてしまう。

さてここからが本題なのだが、勝手に聞こえて来る声を聞くのは盗聴では無い。

勝手に聞えてきた話をネタに噂話をしても、盗聴では無いと言う事だ。
別の言い方をすれば、声が外に漏れるかもしれない所で話をする事に問題がある。

昔から「壁に耳あり障子に目あり」と言う。
こんなことわざがあると言う事は、昔の人はそれだけ気を使っていたと言う事だろう。

盗聴器も無い時代に、こんなことわざが出来たと言う事は、盗聴器など無くても、それだけ聞かれる事があると言う戒めでもある訳だ。

この延長に、コードレス電話の傍受がある。
コードレス電話の傍受にも大原則がある。

その大原則とは「電波は公共の物」
つまり私物化出来ない。

コードレス電話の電波は公共の割り当て周波数を使う。
その公共の周波数を使って電話をする訳で、公共の物であるが故にその電波を誰が聞いても良く、電波法では会話の内容を誰かに話さない限り違法では無い事になっている。

使っている方としては、釈然としないかもしれないが、そうした法律がある事を知らない方が悪い。
それは道路交通法を知らずに自転車に乗るのに似ている。
道路交通法では自転車は軽車両扱いで車道を走らなければならない、しかし道路交通法を知らずに歩道を走って歩行者とぶつかり、歩行者に文句を言うのと同じ。

聞かれたくないのなら、子機を使わずにコードの付いている受話器を使うか、デジタルコードレスにして聞かれない工夫をする事だ。

電話盗聴器の仕組みと誤解

電話盗聴器は電話のシステムから理解する必要がある。

電話回線には普段は微弱な電気しか流れていない。

受話器を上げた時に、「プー」と言う発信音が流れた時に、電気が流れる仕組みになっている。

電話盗聴器はその電話線に仕掛ける。

電話線にはL1とL2の二本の線が通っている。

そのどちらか片方だけに取り付ける。

電話盗聴配線図

「電話の雑音は盗聴の可能性」と言われるのは、この配線をした時だけの話であり、実際にはこの配線はしない。

何故、この配線だと雑音が出るのか?

この図で言えば、L2の線は本線と盗聴器の2経路になる事で電圧低下が起こり、その為に音量低下や雑音と言った症状が起きる。

それが雑音が起きる原因とされている。

 

しかし、盗聴器の配線の間の本線を切り、一経路にすれば電圧低下は起こらない。

電話盗聴配線図2

 

その電圧低下は、盗聴器にも影響する。

つまり二経路にした場合、盗聴器にも電波を飛ばすだけの電力が供給されなくなってしまう。

つまり、雑音が出る配線と言われる物は、電波自体が発信されない。

偽装品などは最初から1経路の配線になっており、偽装品は最初から雑音が出る構造にはなっていない。

つまり、実際の電話盗聴では雑音が出ないのだ。

「電話の雑音は盗聴の可能性」と言うのは、理論上の説明は出来るが、実際には都市伝説の領域の話しである。

逆に、「電話に雑音が」と言って相談して来た時点で、盗聴の可能性は0に近い。

電話の雑音の大半は、コードレス電話特有の雑音の場合が多い。

ここに大きな錯覚がある。

自分の電話の環境しか考慮されない。

自分がコードレスでなくても相手がコードレスの場合でも雑音は聞こえる。

コードレスは、電話をする度に周波数が変るので、コードレスの雑音は一旦切って、かけ直すと結構止まる。

次に多いのが、電話線が冷蔵庫の後ろなどを通っていたりして、電話線に電化製品などのノイズが混入している場合だ。

その時は、電話線を移動すれば雑音は止まる。
さて、電話盗聴器の仕組みだが、電話盗聴器にはアンテナも電源も必要無い。

電源は受話器を上げた時に流れる電気を使い、アンテナは電話線をアンテナとして使う。

その為、電話をする時だけ電波を発信し、受話器を置くと勝手に切れるので、通常は電波を出していない。

この理屈を知れば、光ケーブルに電話盗聴器が仕掛けられない事が理解出来るだろう。

光ケーブルには電気は流れていない、しかもメタル線で無い為に、電話線をアンテナとして使う事も出来ない。

そして、通信も電気信号ではなく光で行っているので、光ケーブルに電話盗聴器を取り付ける事は出来ない。

ADSLのIP電話も、通話信号は音声信号ではなく、パケット通信になっている為に盗聴する事は出来ない。