盗聴発見を生業とする私が言うのも変な話なのだが、発見業者のHPを見て不安を煽られてはいないだろうか?
最近だと「ステルス盗聴器」なる言葉も飛び出し、盗聴の世界が進化しているかのような印象を与えているように思える。
ステルス盗聴器とは、デジタル盗聴やリモート盗聴の総称として作られた造語で、新しい盗聴器では無い。
現実の盗聴の世界は、最早盗聴器の時代では無く、盗聴器の発見などと言う業界自体が時代遅れなのだ。
本来盗聴の主役だった電話盗聴は、IP電話や光回線そしてデジタル化によって、電話盗聴などは最早、現実的には不可能に近くなっている。
室内盗聴などは最初から滅多にあるものではない。
理由は、自室で一人で喋っている人など居らず、何時喋るかもわからない人が喋るのを待ち続けて聞く人など現実には居ない。
それを、寝息を聞いて興奮するとか尤もらしく言っているのは、盗聴発見業者だけである。
つまり、有りもしない不安を煽らなければ商売にならないと考えているに他ならない。
現実の盗聴の世界は、盗聴など困難な世界になっているのだが、盗聴されていると思っている人は鰻上りに増えている。
その理由は「知ったかぶり社会」になっているからである。
現実の盗聴器を知らない者が、不安を掻き立てる目的で書かれている盗聴発見業者のデマを読み、それを鵜呑みに信じてネット拡散して行く。
拡散されたデマは伝言ゲームの様に、尾ひれが付いたり肝心な所が抜け落ちたりして広がって行く。
それを読んだ人が、それがさも現実の様に思うのだが、それを読んだ人も広げた人も盗聴器を触った事も無い人ばかりだ。
正に「知ったかぶり社会」である。
知ったかぶり社会は、知ったかぶりの人が善意で不安を抱える人にアドバイスする。
しかし、デマを教えたり不安を増長させる事を尤もらしく教えて不安を煽ってしまう。
そもそもの話、盗聴器など然程使えない代物だ。
実際の盗聴器を知らない人は、結構遠くでも聞える様に思えるかも知れないが、盗聴器の規格はアナログ電波を使うコードレスホンと同じなので、コードレスホンで通話できない範囲や場所と盗聴器で聞ける範囲は同じである。
TVなどの盗聴特集も、嘘を見抜ける場面が映し出されているが、それに気付ける人はまずいない。
それがレベルゲージだ。
盗聴器の電波到達距離は直線見通しで100Mだ。
100Mで有る理由は100Mを超える出力は違法出力となり、電波管理局の摘発対称になってしまうからである。
秘匿性が重視される盗聴器でこれは致命的だ。
また、合法出力であればワイヤレスマイクとして市販できる。
故に、盗聴器は特定少電力危機の枠内で作られているので100Mしか電波が飛ばないのだ。
更に言えば、出力が高いほど見つけ易くなり100Mを超える出力の盗聴器のメリットは殆ど皆無である。
下のAR-3000Aのレベルゲージは9段階表示なので、レベルゲージがMAXであればそこが発信源であり、0が電波到達限界の100Mとなる。
そこから受信地点から発信源までの距離を有る程度割り出せる。
上の写真は直線見通し30M先の盗聴器の電波を受信している時の映像だ。
AR-3000Aのレベルゲージは6本立っている。
後方のPCのAR-300Aのコントロールソフトは10段階表示でレベル7を示している。
電波到達距離の100Mを9段階で表示すると、1本当たり11Mの計算になり写真は3本消えているのでレベルゲージで見る発信源との距離は33Mとなり、推定距離と実際の距離が殆ど合致している事が分かる。
つまり、屋外で受信している時にレベルゲージが8本も9本も立っていたらおかしいのだ。
それは次の動画を見れば分かると思う。
これは僅か1Mでレシーバー(AR-3000A)に近づけたり遠ざけたりしている時の映像だ。
僅か1Mですらレベルゲージが大きく変化している。
この理由は、目の前にあるパソコンラックで電波を遮られているからである。
つまり、移動しながら受信していれば、必ずレベルゲージは変化すると言う事だ。
TVなどでは車で移動しながら電波を受信しているが、車で10Mは数秒で通り過ぎる。
なのに、レベルゲージが変化しないと言う事は、盗聴器も障害物の無い状態で一緒に移動している事を示しているのだ。
その状態を推測すると、追走する後続車両から発信されているとしか考えられない。
それらの映像は、向かう先に盗聴器が無い事を物語っているのである。
因みに、高いビルだと盗聴器の電波が遠くまで飛ぶと言うのも嘘である。
電波到達距離とは直線見通しの事を言う。
その直線見通しとは、障害物が何も無い状態での到達距離で、高いビルでもそれは変わらない。
直線見通し100Mの飛距離の電波が、100M以上飛ばない理由は大気に含まれる水蒸気による減衰なので、ビルの高さや障害物は無関係なのだ。